歯を失うということは、単に咀嚼機能の喪失にとどまらず、だれでも精神的に大きなショックを受けます。それが前歯ともなればなおさらです。前歯は顔の看板といっしょです。歯が一本ないだけで人相がガラリと変わってしまいますから、歯のない状態には一刻も耐えられないと思うのは当然です。 今何らかの原因で歯を失ってしまったとします。かつては取り外し式の義歯かブリッジという選択肢しかありませんでした。歯がないまま、いつまでも放置しておけば、支えを失った隣の歯が傾いたり、組み合わせていた反対の顎の歯が伸びて、かみ合わせのバランスが著しく崩れてしまいます。
とくに奥歯は顔の長さを決めている支柱のような役割も果たしているので、奥歯を失うと徐々に顔の長さが短くなって、口の周囲に深いしわがより、年より老けてしまいます。顔が短くなるにつれ、前歯が飛び出して、歯と歯の間に隙間が開き、唇が閉じなくなります。 また奥歯という顔の支柱を失うと、Jむための筋肉が発する強い力は、顎の関節で負担することになりますから、顎の関節も大きなダメージをこうむることになります。顎の関節には外側翼突筋や腱が付着しているので、筋肉の異常緊張が発生して、頭痛や肩こりの原因になったり、異常が進むと頚椎のずれを生じて姿勢制御にも問題を与えかねません。
前歯を失った場合は、機能的な問題は奥歯ほどではありませんが、見た目の印象が悪く、他人に違和感を与えるので、社会的な損失は計り知れません。そのような顔を毎日鏡で見る、ご自分自身にとってもいやになってしまい、自分はとても大切なのだと思える重要なセルフイメージが下がってしまい、引っ込み思案になったり、希望がないように思えてしまうような、心理的な悪循環に入ってしまいます。
したがって、いったん歯を失ったら早急に代わりとなるものを入れなければならないのです。かつては、それには入れ歯やブリッジという手法が用いられていました。 入れ歯もブリッジも、残ったご自身の歯に何らかの方法で固定するか、顎の土手に吸盤のように吸着させる治療法です。加齢とともに弱っている大切なご自分の歯に過剰な負担を与え歯の喪失を加速化します。また入れ歯では十分な咀嚼力の回復は至難の業です。噛むことや食べることが思うに任せない、ブリッジや入れ歯がかかっている歯が次々だめになっていく、見た目が美しくない、エンドレスで歯科医院に通い続けなければならない、しかもお金がかかるとなれば、これほどストレスなことはありません。
人は慢性のストレスを抱えて、気持ちよい気分にはなれませんし、思い切り笑うこともできません。そのため歯を失った人の多くは笑顔が気に入らず、ひいては自信の喪失から自己評価の低下へと悪い感情のサイクルに突入してしまうのです。これは究極のコンプレックスです。 メデントのゲストは、どなたもこの究極のコンプレックスに悩んでおられる方々ばかりです。現在入れている入れ歯やブリッジの不満を訴えられる方が多く、最初はみな一様に暗い表情をしておられます。
「歯周病の歯をブリッジでつないで無理やりもたせてきたのだけど、今にも抜けそう」
「総入れ歯が安定せず、思うようにJめないばかりか、いつ外れるかと思うと不安だ」
「硬いものがまったくJめず、食べる楽しみを失った」
「発音がしにくいし、人からも話が聞き取りにくいと言われて、人前に出るのがいやになった」
「口の中がネバネバし、絶えず不快感があるので、何をするのも憂鬱だ」
「部分入れ歯をとめているバネが見えそうで、人前で笑えない」
「口元が見苦しく、いつも手で覆ってしまう」
こうした不満やコンプレックスをすべて解消できるのが現代インプラント治療です。歯の抜けたところに純チタン製の人工歯根を植え、顎の骨としっかり結合させた後、それを土台にして人工の歯を作り固定する方法で、骨結合型人工歯根=オッセオインテグレーテッド・インプラントと呼ばれています(図1)。
従来の入れ歯やブリッジでは、人工の歯を取り付けることによって、歯冠の回復はできても、土台である歯根は失われたままですから、自分の元の歯に比べて、噛む力が衰えるのはやむを得ないことだったのです。ところがインプラントなら歯冠のみならず、歯根まで取り戻すことができるわけですから、天然の歯と同じように硬いものもJむことができます。
それにブリッジの場合、支えとなる両隣の健康な歯を削らなくてはいけないというデメリットがあります。また入れ歯では、留め金がかかった歯が負担に音を上げてダメになってしまうといった不具合もあります。これは自分の歯の健康を損なうという意味で問題です。さらに一本の歯の欠損が全体に波及する恐れがあります。
インプラントは失った歯の部分だけを治療するので、ほかの健康な歯を削ったりして問題を拡大させてしまう恐れがありません。 もちろん、入れ歯のように取り外しの必要もなく、プラスチックなどの床や隣接する歯に引っ掛ける留め金もいらないので、口の中がすっきりし、不快感がなくなるばかりか、見た目も美しく、自然な笑顔を取り戻すことができます。
メデントでは人工歯を作る場合は、前歯ではメタルにセラミックを焼き付けたセラモメタルクラウン、奥歯ではメタルに少し柔らかめのハイブリッドセラミックをコーティングして使用しますので、天然歯のような透明感や輝きを放ちます。
特別な美しさを求める方にはメタルを一切用いず酸化ジルコニウムという人工ダイヤモンドのフレーム材を用いて、真珠のように輝く歯を作り上げることもできます。いずれの人工歯であっても、ゲスト一人ひとりの顔や唇に合わせて歯の色や形、歯並び、スマイルラインといった審美的要素を綿密に検討してつくりあげますから、仕上がりはとてもエレガントできれいです。 最近では一般歯科医院でもこのインプラント治療を取り入れるところが増えてきました。インターネットの検索エンジンでインプラントを検索すると一三〇〇以上のホームページがあがってくることから、乱立と言ってもよい状況です。でもインプラントも高価なものから安いものまでさまざまです。もちろんよい品質のものから脱落しやすいものまでいろいろな製品があって、どれも高品質なわけではないのです。またインプラント治療を行っているということと、精度の高いインプラント治療が行えるということは、まったく別なことなのです。
難しい症例や多数のインプラントを植立する場合は、手術や麻酔の専門医がいて、最新の設備が整った専門医療機関でなければ対応できません。最近の電話での質問の多くに、「インプラント一本いくらですか?」「インプラントの経験本数何本ですか?」というのがあります。メデントではオーソドックスなインプラント治療にかかるインプラント一本当たりの総治療費は四二万円です。 メデントでは常に総治療費を表示しますが、手術料を最初に表示して、後から人工歯料を請求されることもあります。またその費用にはメデントのように血液検査、心電図、断層撮影などの精密検査料や静脈内鎮静法や全身麻酔の費用が含まれているかもわかりません。そもそも麻酔は局所麻酔だけというところが大半でしょう。
本書の監修を行っている伊藤正夫は一万本以上のインプラントの治療経験を誇り、わが国で最も経験が豊富な臨床医の一人ですが、それはあまり問題になりません。たくさんインプラントを植えたから偉いというものではないのです。植えられた一本一本のインプラントの周囲では、生理学的、生化学的、病理学的に複雑な治癒のメカニズムが働きます。これらの生態反応をよく理解して、コントロールできることが重要なのです。
インプラントは植えただけでは骨と結合していません。骨結合を上手に獲得する知識と技術が重要で、それは植えたインプラントの数とはなんら関係ありません。
メデントインスティテュートはインプラントの専門医療機関であるだけでなく、高度な矯正歯科治療、審美歯科治療さらにその延長線上にある高度な顎矯正手術を推進し、しかも、これらを無痛的に行うことを基本コンセプトにしています。ですから、あらゆる難症例に対応できるばかりか、審美性をも追求した美しい笑顔をつくり上げることができます。
機能性と審美性をドッキングさせた審美インプラント。それがメデントのインプラント治療であり、歯を失った方でもメデントのトレードマーク「ハリウッドスマイル」(ハリウッドの女優さんのような美しい笑顔)をゲットできるのです。