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ケーススタディ

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9.天然歯とかわらない人工歯

  いったんインプラントが植立されると、インプラントの周囲の骨ではダイナミックな変化が生じ始めます。まずインプラントの手術によってもたらされたダメージによって骨のミクロな吸収が生じます。これは手術後一カ月くらい続きます。その後ダメージを受けたインプラント周囲組織に猛烈な勢いで、血管の新生や骨の再生が起こり始めます。この現象は一年以上にわたって続いていきます。インプラントに人工歯を固定するのはこの途中で行います。

  いつ人工歯を作って、それをインプラントに固定するかは人によって、またニーズによって異なりますが、保守的な考え方としては通常、下顎で三カ月程度、上顎で六カ月程度の養生期間をおきます。この時期になると少なくともインプラント表面の60%以上が骨と結合していますから、Jみ合わせの圧に耐えることができます。インプラント治療を受けたいけど、歯が入るまで待てる時間がないという方には、八週間程度で人工歯を固定する場合もありますし、極端な例では手術をしたその日のうちに型をとって、二週間程度で人工歯を固定する場合もありますが、顎の骨の状態がかなり良いことが条件になります。
  早く歯が欲しい人に対しては別の方法で対応することもあります。すなわちインプラントとインプラントの間に仮歯用の細いインプラントを何本か植立して、手術の日に仮歯を固定するのです。この仮歯用のインプラントは最終の人工歯が固定されるときに撤去するのが普通です。

  手術後の通院は、原則としては手術翌日の消毒、一〜二週間後の抜糸、一カ月後以後は毎月一回の経過観察を行います。レントゲン撮影などでインプラントと骨との接合が十分と判断された時期に二次手術を行います。インプラントの頭は歯肉の下に隠れていることが多いので、この頭を露出させる手術で、骨の手術ではありませんので、局所麻酔だけで行うことができます。インプラントに、人工歯の周りの歯肉の形を整えさせるヒーリングアバットメントと呼ばれる接続具を付けることによって、一週間から二週間かけて歯肉形成を行います。

  ここでインプラントの基本的な構造を解説しておきましょう。インプラントは純チタンからできたねじ状の構造物ですが、専門的にはこれをフィクスチャーと呼んでいます。フィクスチャー内部には穴が開けられていて、その壁面に線状が形成されています。そこにアバットメントと呼ばれる人工歯の土台がねじこまれるのです。フィクスチャーとアバットメントの連結が終了すると、アバットメントに人工歯(インプラント上部構造と呼びます)が固定されるというわけです。

  インプラント(フィクスチャー)が骨結合する時期を見計らって、いよいよ人工歯(インプラント上部構造)の作製に入ります。だれもがあこがれる「ハリウッドスマイル」を手にするためには、上部構造の設計および作製こそが重要です。 まず型を取らなくてはなりません。これはインプラント(フィクスチャー)の型を取る場合もあれば、インプラント(フィクスチャー)に土台(アバットメント)を連結した状態で型を取る場合もあります。これはケースバイケースです。 ここまで読み進めていただいた読者の皆さんはインプラントに関してもう詳しくなっておられるのですから、フィクスチャー(インプラント)、アバットメント(土台)、インプラント上部構造(人工歯)の用語を覚えてしまってください。

  さあ、型がとれました。上部構造の設計に当たっては、口腔内の機能再建にとって最も重要な、噛み合わせの様式はもとより、歯並びや色、形、リップラインといった審美的要素も、綿密に構成要素として盛り込まなくてはなりません。

  インプラントでは、むしろ天然歯以上の細かなJみ合わせの調整が必要です。なぜなら天然歯の場合は、歯と骨の間に歯根膜というクッションのようなものがあり、100ミクロン(0.1o)程度の可動性を有しているのに対し、一度埋め込まれたインプラント=フィクスチャーはほとんど動かないため、天然歯以上の作業精度が求められるのです。
  メデントグループでは人工歯には天然歯に限りなく近い色や透明感、輝きが再現できるセラミックやハイブリッドセラミックを用いているため、機能性はもとより、審美性においても非常に満足度の高い結果が得られます。

  とくに極限まで強度と審美性を追及するゲストの皆さんには、酸化ジルコニウムを削り出して作製したインプラント上部構造がお勧めです。酸化ジルコニウムは乳白色の特殊なセラミックですが、これは象が踏みつけても割れないといわれており、酸化ジルコニウムでインプラント上部構造のフレームを作り、その上にセラミックを焼き付けると完璧な歯が出来上がります。
  ただゲストの皆さんに知っておいていただきたいのは、とくに奥歯の場合、フレーム材となる金属や酸化ジルコニウムの上に焼き付けてあるセラミックは割れることがあります。セラミックは硬いので歯と歯が衝突するときに欠けたり割れたりすることがあるのです。これはインプラント=フィクスチャーの基本構造とは関係ありませんので、修理が可能です。
  それではなぜ割れやすいセラミックを使うのでしょうか。もちろん審美的に美しいということが第一の理由ですが、セラミックは歯の垢(デンタルプラーク)が付着しないので、インプラントが生物学的に長持ちするのです。

  完成した人工歯=インプラント上部構造をインプラント=フィクスチャー、土台=アバットメントに固定するには、通常の歯の被せ物を固定するときのようにセメントを用いる場合=セメントリテイン(図2)とねじ(スクリュー)で固定する方法=スクリューリテイン(図3)があります。

セメントリテインはねじが外に出ないので、見た目も美しく、審美性の高い歯を作ることができます。しかし、セメントリテインはインプラント上部構造=人工歯を撤去しなくてはならないときは、それを破壊しなくてはなりません。仮止めセメントで止めるという方法もありますが、取れてほしくないときに取れてしまったり、逆に取りたいときに簡単に取れなかったりと、不便な点もあります。とくにインプラント上部構造が取れると、ゲストの皆さんはフィクスチャー=インプラントまで取れてしまったのかとびっくりされる方がいらっしゃいます。 したがってセメントリテインはどちらかというと、インプラント二〜三本までの小規模なインプラント向けと言えるでしょう。

  大規模な修復をインプラントで行う場合は、スクリューリテインに一日の長があります。万が一トラブルが起きたり、定期検査を行う場合でも、スクリューを緩めることでインプラント上部構造を取り外すことができ、比較的簡単に調整や修理をすることができます。
  このような利点のあるスクリューリテインですが、いいことずくめではありません。スクリューが目立つところに出てしまうようでは見苦しく、念願の大きな笑顔「ハリウッドスマイル」をゲットすることはできません。このような場合、メデントグループでは、サイドスクリューといって、裏側からねじ止めする方法を用いています。

  さあ、これでインプラント上部構造=人工歯が、フィクスチャー(インプラント)やアバットメント(土台)に固定されました。インプラント治療はどうしても手術的処置にばかり眼が向けられがちですが、「ハリウッドスマイル」をゲットするには、上部構造の出来上がり具合が大きなカギを握っているのです。 新しい歯が装着されたとき、噛むという機能が完全に再建されたか、口の中に不快感がないか、審美性が十分改善されたか、さらには心理面で明るい変化が得られたか、こうした点を観察しながら、調整を繰り返し、身体になじんだものにしていくのに、上部構造装着後、平均で約一カ月かかるのが普通です。 こうしてインプラントは自分の身体の一部になっていくのです。

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